中古,非業務用資産減価償却

中古資産減価償却

確定申告で減価償却費を計算する際に次の場合には注意が必要です。

  • 中古資産を取得した場合の減価償却
  • 非業務用資産を業務用に転用した場合の減価償却
  • 相続により取得した資産の減価償却

中古資産を取得した場合

 中古資産を取得して事業の用に供した場合には、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数又は簡便法による耐用年数によることができます。
ただし、その中古資産を事業の用に供するために支出した資本的支出の金額がその中古資産の再取得価額 【中古資産と同じ新品のものを取得する場合のその取得価額をいいます。】 の50%に相当する金額を超える場合には、耐用年数の見積り又は簡便法による耐用年数をすることはできず、法定耐用年数を適用します。
使用可能期間の見積りが困難であるときは、次の簡便法で算定した年数でできます。

(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産
その法定耐用年数の20%に相当する年数

(2) 法定耐用年数の一部を経過した資産
その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数
なお、これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。 (耐令3、耐通1-5-1~4)

単純承認による相続で減価償却資産を取得した場合には、減価償却資産の取得費、取得時期を被相続人より引継ぎくため新たな資産の取得には該当しないため法定耐用年数によります。

業務用に転用した場合

 平成9年10月20日に新築した自宅用の木造住宅を、平成21年3月1日から貸付けの用に供した場合の減価償却費は次のようになります。

  1. 取得価額:30,000,000円
  2. 法定耐用年数:22年(旧定額法の償却率:0.046、旧定率法の償却率0.099)

非業務用の減価償却資産を業務の用に供した場合の、その業務の用に供した後におけるその資産の償却費の額は、その資産の取得価額に、その資産の耐用年数に1.5を乗じて計算した年数 【 1年未満の端数がある場合は切り捨てます。 】 により旧定額法の方法で計算した金額を基に、その資産を取得した日から業務の用に供した日までの期間 【 1年未満の端数が生じた場合は、6か月以上は1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。 】 に係る年数を乗じた金額を取得価額から控除した金額を未償却残額として計算します(所得税法施行令第135条、所得税法第49条、所得税法施行令第85条、第120条の2、平成19年政令第82号改正附則第12条)。

  1. 非業務用期間の耐用年数
    22年×1.5=33年(1年未満の端数切捨て
  2. 非業務用期間(旧定額法による)の償却費
    【30,000,000-30,000,000×0.1】 ×0.03〔33年旧定額法〕 ×11年〔非業務用期間〕 =9,207,000円
    (注)
    1 非業務用期間は11年5か月となりますが、6か月未満の端数は切り捨てますので、11年となります。
    2 非業務用資産の減価の額の計算は、旧定額法によります。
    また、減価の額の累積額が取得価額の95%に相当する金額に達した非業務用資産を業務の用に供した場合、平成20年分以後において所得税法施行令第134条の規定に従い、減価償却費を計算することになります(平成19年政令第82号改正附則第12条)。
  3. 業務開始の時の未償却残額
    30,000,000円-9,207,000円=20,793,000円
  4. 平成21年分の減価償却費の計算
    旧定額法の場合
    {30,000,000円-(30,000,000円×10%)}×0.046×10/12=1,035,000円
    (未償却残額19,758,000円)
    旧定率法の場合(確定申告期限までに届出が必要)
    20,793,000円×0.099×10/12=1,715,423円(未償却残額19,077,577円)

相続で取得した減価償却資産

 平成21年5月10日に被相続人から木造アパートを相続した場合の被相続人の準確定申告及び相続人の確定申告における平成21年分の償却費の額は次のようになります。

  1. 取得年月:昭和59年1月
  2. 取得価額:10,000,000円
  3. 法定耐用年数:22年(旧定額法及び定額法の償却率0.046)
  4. 平成21年1月1日の未償却残額:500,000円(取得価額の5%相当額)

被相続人の準確定申告における減価償却費
平成19年3月31日以前に取得した一定の減価償却資産で、各年分の所得等の金額の計算上、必要経費に算入された金額の累積額が償却可能限度額 【 建物についてはその取得価額の95%相当額 】 に達している場合には、未償却残額をその達した年分の翌年分以後の5年間で、1円まで均等償却することになります(所得税法施行令第134条第2項)。
また、年の中途で死亡した場合の必要経費に算入される金額は、その償却費の額に相当する金額を12で除し、これにその年1月1日からその死亡の日までの期間の月数を乗じて計算した金額となります。
したがって、被相続人の準確定申告における減価償却費の計算は次のようになります。
(500,000円-1円)÷5年×5/12=41,667円(相続時の未償却残額458,333円)
(注) 1円までの5年均等償却は、平成20年分以後の所得税について適用されます(平成19年政令改正第82号附則第12条第2項)。

相続人の平成21年分の確定申告における減価償却費の計算
平成19年4月1日以後に取得した建物の減価償却の方法は、定額法とされ(所得税法施行令第120条の2第1項第1号)、この「取得」には、相続、遺贈又は贈与によるものも含まれます(所得税基本通達49-1)。
ただし、減価償却資産の取得価額及び未償却残額は、相続により取得した者が引き続き所有していたものとみなされます。
したがって相続人の平成21年分の確定申告における減価償却費の計算は次のようになります。
10,000,000円×0.046×8/12=306,667円(未償却残額151,666円)

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